2010年3月30日火曜日

シンポジウム「海の緑化技術の現状と展開~森・川・海のつながりと海洋環境~」

本日のメールマガジン配信の内容を転載します!

環境エネルギーコラム1:
シンポジウム「海の緑化技術の現状と展開~森・川・海のつながりと海洋環境~」
山本光夫特任講師


 平成22年2月22日、東京大学教養学部学際交流ホールにて、シンポジウム
「海の緑化技術の現状と展開~森・川・海のつながりと海洋環境~」が
開催されました。これは、以前にメールマガジンでも紹介させていただいた
「製鋼スラグと腐植物質による藻場再生技術」に関するシンポジウムで、
筆者らが組織する海の緑化研究会が主催(NEDO特別部門は共催)で行った
ものです。
(http://www.komed.c.u-tokyo.ac.jp/nedo/seminar.html)

 海の緑化研究会が主催する東京大学でのシンポジウムは、昨年3月に
引き続き2回目となります。昨年は初の開催であったこともあり、研究会が
取り組む藻場再生技術の成果紹介が主な内容でした。本年度のシンポジウム
は、研究成果を紹介するだけに留まらず、本技術開発の基礎となっている鉄を
中心とした「森・川・海のつながりと海洋環境」について広く考え、
議論していくことを目的と致しました。したがって、講演者も研究会内だけ
でなく、海洋環境や水産関係の研究に携わる研究者による招待講演も
組み入れました。また最後に総合討論を加えて、分野や業種を超えた新たな
ネットワークの構築を目指しました。今回のシンポジウムの趣旨は、環境・
エネルギー問題解決に向けては、「俯瞰的」に物事を捉え、「異分野融合」で
対策をとるNEDO特別部門が目指す方向性と一致していると言えます。

 本技術、また藻場再生への取り組みに関しては、特にここ最近大きな注目を
集めるようになりました。本技術は環境修復だけでなく、副産物の有効利用、
地球温暖化対策への寄与など、幅広い分野への期待があり、新聞をはじめとして
マスコミ等で採り上げられる機会も増えてきています。そういったこともあり、
シンポジウムには、大学・研究機関、省庁関係、また企業など幅広い分野や
業種から約120名もの参加がありました。



 シンポジウムは、第1部は講演、第2部は総合討論という構成で行いました。
第1部では、最初に東京大学海洋研究所の小川浩史准教授と、(財)マリノ・
フォーラム21の浮永久氏に招待講演をしていただきました。小川准教授には
「海洋中の溶存有機物の動態と生態系とのかかわり」と題して、藻場再生技術とも
かかわりのある溶存有機物に関するご講演をしていただきました。また浮氏は、
「バイオマスの利活用と、ブラウンベルト構想について」と題して、水産の立場から、
藻場造成に関するこれまでの対策から今後の方向性まで幅広くお話をして下さい
ました。その後は、海の緑化研究会内の大学・研究機関、そして企業から合わせて
5件の報告を行い、第2部の総合討論へと移りました。




 総合討論では、活発な意見交換が行われました。最初に質疑応答を行い
ましたが、会場からは講演内容に関する質問が数多く寄せられました。
その後の討論では、藻場再生技術の今後の方向性、森・川・海のつながりや
海洋環境における鉄や腐植物質の役割についてなど、幅広い討論が行われました。

製鋼スラグと腐植物質による藻場再生技術の研究開発の特長は、様々な分野の
研究者と企業が分野横断的な協力をして進めてきたことですが、まさにそれを
象徴する講演と総合討論になりました。アンケート結果からも、今回のシンポ
ジウムは非常に好評で、分野横断的な内容を評価する声や今後もシンポジウムを
開催して欲しいといった声が多く寄せられました。このように、今回のシンポ
ジウムは大変に有意義なものとなりましたが、今後も更に内容を充実させながら、
藻場再生技術や海洋環境の話題を中心に情報発信を行っていきたいと考えています。

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