2010年9月13日月曜日

古くて新しいエネルギー風力発電

こんにちは。秋風が少し感じられるこの頃です。今年の夏は本当に暑かったですね。
さて、10日(金)に17号目のメールマガジンを配信しましたので、その内容から一部転載します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○環境エネルギーコラム:
東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門、
東京大学駒場博物館主催
第4回ギャラリートークショー
「古くて新しいエネルギー風力発電とこれからのエネルギー」
ゲスト:飯田誠先生(東京大学先端科学技術研究センター)
2010年8月28日(土)開催

今回のギャラリートークは、当部門の飯田先生にお話しいただきました。恒例の学生さんとの対談形式ではなく、講演1時間に質疑応答30分弱で構成。飯田先生は、駒場キャンパスにも立ち、2009年経済産業大臣賞を受賞した小型風車「エア・ドルフィン」の開発者です。

最初に風力発電の世界的な需要の高さについて解説され、風車の開発者として、その仕組みについてもわかりやすくお話されました。風車は、風が吹くほど、力を発生させることができるけれど、翼の角度によって異なるそうです。発電機は、大きければ大きいほど、また風車が回れば回るほど発電することができます。しかし、速く回すと遠心力が強くなり、また大きくなると重くなって製造するのが大変になります。そこで、軽くて丈夫な素材、構造、設計技術が重要なのだそうです。



約6000年の歴史を持つという風車ですが、日本で最初の風力発電装置が設置されたのは1980年。それから30年経ち現在主流となっている発電用風車は、高い塔(タワー)の上で、3枚の翼が回り電気を作るもので、ダウンウィンド(写真下)とアップウィンド(写真下2番目)の風車に大きく分けられます。駒場博物館展示室内にも、国内メーカ3社(三菱重工、富士重工、日本製鋼所)の協力を得て、それぞれの模型が展示されています。





風力発電の効果について、例えば大型風車(MWT100/2.4MW)1基の場合だと平均風速6.3m/sで、年間約640万kWhの電気を生み出すことができます。これを一般家庭に換算すると約1500世帯分に相当し、石油火力発電所(石油量)に換算すると、約1600kL(ドラム缶8000缶)に相当します。CO2削減量に換算すると、約4700トンもの削減ができ、これをスギの木に換算すると約34万本分が吸収できるCO2量に相当します。風力発電は自然エネルギーの中でも効率がよく、発電量の規模も大きいことがわかります。

その他、風車の翼やナセル(発電機)等がどのように作られるか、風車工場の様子も見せながら解説されました。大型風車が工場から出荷され、現地で建設される際には分割して運ばれ、現場で組み立てられますが、その様子も楽しくお話してくれました。また東京近郊で風車が見たい時は、飯田先生が導入に携わった東京湾臨海風力発電所「東京かざぐるま」や3年前にできた港ヨコハマにある大型風車の紹介もありました。



さらに風車の導入に対する課題については、台風やハリケーンなどの日本特有の問題や風の不規則性の問題、騒音やバードストライクの問題等についても解決の道を模索する方策を提示されました。“風力発電は風が吹いた時だけ発電する”という不規則性の解決策としては、青森県六ケ所村の二又風力発電所での蓄電池併設型の風力発電施設のように風力と蓄電池とのハイブリッド化により問題点の解決を図ることがポイントだそうです。今後は気象予測に基づく風力発電量の予測などの安定化技術も導入が期待されているとのこと。その他、生態系に関わる課題や地域住民の理解を深めていくことの大切さについてもお話されました。参加した皆さんも風力発電の利点と課題をともに考えることで、身近に感じることができた人が多かったようです。



今回は、教養学部で夏に開催した直島キャンプ(飯田先生も指導に当たりました)に参加した高校生も多く参加し、講演後の質疑応答の時間も活発な質問が寄せられました。最後は恒例の記念撮影です。

0 件のコメント:

コメントを投稿