2009年10月8日木曜日

太陽電池にかける期待

台風18号の影響で雨風強く、今朝はJRなどで電車が運休し
通勤超ラッシュにもまれました。

さて、昨日メルマガ5号を配信しました。
内田先生の「太陽電池にかける期待」と題した寄稿をご紹介します。

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「太陽電池にかける期待」

大変な時代になったと思う。今年1月、Change!(チェンジ)を合い言葉に、
オバマ氏が米国大統領に就任した。新大統領は直ちに風力・太陽光・
バイオマス等の開発と導入に10年間で1500億ドルを投じ、500万人規模の
新規雇用を生み出す政策を打ち立てた。

この気運は瞬く間に世界に波及し、日本では麻生前首相が環境投資で雇用拡大を
計る「日本版グリーン・ニューディール」構想の策定を指示した。地球温暖化対策と
景気刺激を両立させようとしたもので、省エネ技術や製品の開発・普及などへの
投資を促進し、二酸化炭素(CO2)排出量の抑制を図ると同時に、環境関連産業の
振興を通じ雇用を創出するという試みである。

 かくして自然エネルギーへの期待は高まる一方だが、太陽光発電は世界を
リードする日本でさえ現状は92万kW(2007年生産量)、全エネルギー消費量の
0.1%にも満たない。次世代の発電システムの開発は待ったなしの状況にあるが、
飛躍への課題は一にも二にもコストである。

 こうした中、“色素増感型”あるいは“グレッツェル・セル”などと呼ばれる
新型の有機系太陽電池が注目されるようになった。この電池は高純度のシリコン
半導体を使わず、ヨウ素溶液を介したシンプルな電気化学セル構造を持つのが
特徴で、電解質溶液の酸化還元反応を伴うことから光合成に例えて
“光合成模倣型光電池”といった呼ばれ方をすることもある。また毒性元素を
含まない・製造コストが低い等環境負荷も小さく、時代の要請に即したデバイス
でもある。今から来年以降の実用化動向が楽しみである。



内田 聡(うちだ さとし):
東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。瀬川研究室所属。
専門は色素増感太陽電池、スポンジ酸化チタンの研究。
自身のホームページ『内田Home Page』は一日のアクセス数
1000件を超え、『色素増感太陽電池』のキーワードで
Geogle検索すると一番目に表記されるほど認知度が高い。

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