2011年2月22日火曜日

シンポジウム「海の緑化技術の展開~沿岸生態系修復による炭素固定の展望~」

特別部門が海の緑化研究会とともに開催するシンポジウムのご案内です!

海の緑化研究会、新環境エネルギー科学創成特別部門主催
シンポジウム「海の緑化技術の展開~沿岸生態系修復による炭素固定の展望~」


日本や世界各地の沿岸海域では、海藻群落(藻場)が衰退・消失する「磯焼け」問題をはじめとする生態系破壊の問題を抱えています。藻場の修復については、従来の手法に加えて「鉄」の効果が注目され、分野を超えた幅広い協力で取り組みが進められています。

海の緑化研究会では、海水中の溶存鉄不足に着目し、鉄鋼スラグと腐食様物質を混合したユニットによる藻場再生技術(海の緑化技術)について研究開発を進め、この技術は実用レベルの段階にいたっています。一方で、藻場の修復は、単に緑化技術の実用化にとどまらず、生物多様性の保全や沿岸の生態系の修復による炭素固定へとつながる可能性をもっており、地球規模の環境問題への貢献への期待も大きくなっています。

海の緑化研究会では、研究成果の報告とともに生態系保全・生物多様性の観点から森・川・海のつながりに着目した生態系保全についてのシンポジウムを開催してきましたが、今回のシンポジウムでは、もうひとつの重要課題である地球温暖化問題の解決への寄与に焦点をあてて開催します。

日時:平成23年3月8日(火)13:00-17:40
場所:東京大学教養学部18号館ホール
プログラム:
第一部 13:10-16:20 講演(発表7件)
第ニ部 16:50-17:30 総合討論
懇親会 18:00-    駒場コミュニケーション・プラザ南館3F交流ラウンジ
参加費:シンポジウムは参加無料、懇親会参加費4000円

★詳細はこちらをご覧ください↓
http://www.komed.c.u-tokyo.ac.jp/nedo/seminar.html
★参加をご希望の方は、下記メールにて1)氏名 2)所属 3)役職(学生の場合は学年)4)連絡先(電話、メールアドレス) 5)懇親会参加の有無を明記の上、お申込みください。
申込先:ryokuka_conference@eco.c.u-tokyo.ac.jp
皆様のご参加をお待ちしております!

エコカーがもたらす新しいライフスタイル

こんにちは。本日第20号目のメールマガジンを配信しました。その記事をこちらに転載します。

○環境エネルギーコラム:トークショー報告
東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門主催
第9回トークショー「エコカーがもたらす新しいライフスタイル」
ゲスト:清水和夫さん(モータージャーナリスト、レーシングドライバー)



エコカーという言葉を最近よく見たり聞いたりする機会が増えてきましたが、今回は、自動車事情に詳しい清水和夫さんをゲストにお迎えして、学生のおふたり、飯塚修平さん(工学部3年)とミス東大の加納舞さん(工学部3年)の進行のもと、エコカーがこれから私たちの生活にもたらすさまざまな可能性についてお話を伺いました。

まず最初は、1880年代頃のガソリン車の歴史から。量産が始まったのはアメリカのヘンリー・フォードが立役者で、当時、フォードはスタンド・高速道路・自動車の3つを同時に普及させたそうです。「これで仕事をしない乗り物にご飯を食べさせなくてもいい。」というフォードの有名な言葉もあるそうですが、馬車から自動車への大きな時代の転換でした。

自動車のこれまでの歴史の中で、意外だったのが、20世紀初頭、ガソリン車が発明され実用化するまでの20~30年の間、電気自動車の時代があったそうです。石油を使ったガソリン車が発展しなかったら、EVの時代は長かったかもしれないと。では、なぜガソリン車が発展したのか、データを使って説明してくれました。



電気駆動と内燃エンジンの効率を比較してみると、エネルギー密度が圧倒的にガソリン車が高く、これが決め手になりました。EVだとガソリン1キロに対して60キロものリチウムイオン電池が必要になってしまいます。ガソリン車と電気駆動とは両極端のように得手不得手があり、今までの自動車にはできなかったところができるようになったのがハイブリッドで、これから先進国での主流となっていくだろうとのことでした。

世界では、ものすごい勢いで、エコカーのスーパーカーが登場しているそうです。清水さんによると、EVとエンジンはキャラが違うので、2つ持っているととてもおもしろいそうです。長い距離を走るには、ガソリンが必要。EVという新しい仲間が入り、ハイブリッドはブレーキを電気エネルギーとして貯金箱に入れられる。ハイブリッドのスーパーカーで、平日は奥さんがEVで街中で買い物など用事をこなして、週末はダンナさんがエンジンで遠出、なんてライフスタイルも楽しめるわけですと楽しげに話されました。

ところで、清水さんがどういう経緯でレーシングドライバーになったのかというと、22歳の学生の頃に志賀高原ラリーでルーキーとして出場し、いきなり優勝したことに始まるそうです。勝った理由はお金がなくてスパイクタイヤが買えなかったが、雪が降らなかったので勝ったと。2年目にも同じラリーで二連勝し、大学を出て技師として就職したものの、車が忘れられなくて戻ってきたのだそうです。清水さんが最近出場しているレースは耐久レースが多いそうですが、レースもエコを意識するようになってきたそうです。一周毎に燃料消費の量をピットの監督に無線で確認され、数名のドライバーの燃料消費を比較し、もし多く消費していたら、
「もっと燃料消費を抑えて走るように」と注意されるそうです。80年代はCVCCと環境対応したホンダシビックのエンジン制御技術がF1で使われていたとのこと。日本の省エネ技術はF1の世界でも通用しています。「速いことはエコ。軽くしないと速くならないし、空気抵抗を小さくしないと速く走れない。速くなる要素はエコロジーに使える。スポーツカーは反社会的ではない。」
という言葉も印象的でした。



これからの私たちの生活がどうなっていくのか。清水さんによると、これから世界的に自動車が普及拡大していくのは、アジアが中心になるだろうとのこと。ただしハイブリッドなどの高性能車ではなく、今でも相場が20~30万円の車が多いインドにおいては、50万円以下の車を中心に揃っていくだろうとのこと。それでも、数にして数億台が今後アジアを中心に増えるそうです。

一方、先進諸国では、ハイブリッドなどのコンベンショナルなエンジンでクリーンかつ燃費のよいエンジンがさらに伸びて、街中には、ハイブリッドで再生可能エネルギーが使えるようなタウンカーが多く走るようになる。また、リチウムを使った電動アシスト自転車や電動スクーターも増えて、ヨーロッパのようにレンタルで自由に乗れるカーシェアリングを取り入れるところを増やしてはどうかという提案もありました。 ヨーロッパの事例はなかなかおもしろかったです。たとえば、フランスのナントという街は、信号機を街の中心部から取り払ったそうです。ゾーン30、ゾーン15と走行速度を規制し、街の中心部には生活者しか入ることができないようにIT制御をした結果、交通事故は減ったそうです。当然、景観もよくなり、良い面がいろいろ見られるようになりました。

モビリティを発展させるために思い切って街から変えるという発想を自治体に持ってほしいという提案もありました。そうした街づくりは、これからCO2排出を減らしていくことにも効果的ともいえそうです。



これまでの100年間、エンジンと3つのペダルと常識の中で考えてきたものから、EVという技術を使って、いかに新しい自動車を作っていくのか。21世紀のクアトロを作るのだという気概が、今、ヨーロッパの自動車の製造現場にはあるそうです。これから5年くらいで車は大きく変わってくるだろう。 また、これからの高齢社会に向けたモビリティも作っていかなくてはなりません。20年後には、後期高齢者人口が2000万人を超える。だから、高齢者向けに時速20キロくらいのEVを作ってあげて、半径5キロ圏内を快適に移動できるようにしてあげるといいとの話もありました。

これからの車はますます多様性を求められます。日本の自動車業界の強みは、ある意味、優柔不断なところ。たとえばこれから車が急速に普及すると思われるインドでは、必要とされるのは高性能なPHVでもEVでもなく、生活のために必要な車。現在もインドでの日本車率は90%で、スズキだけで70%のシェアがある。タイやインドネシアでも日本車は強い。中国だけ見ていると違うように思えるかもしれないが、ASEANでは日本車は相当強い。

日本はガラパゴスとか言われているが、たくさんの種類をもつと強いんじゃないかとアジア諸国を回っていると感じるそうです。ヨーロッパ車は優れているが、哲学やブランドがかえって邪魔をするかもしれない。今、日本には閉塞感があるが、アジアの人から見たら坂の上の雲は日本かもしれない。もっと日本は、自分たちの価値観を再発見して自信をもったほうがいい。もうグローバル化なんてものは存在していない。ひとつの価値で皆が認める車は必要とされていないと、力強いメッセージがありました。

エネルギー問題は文明社会に直結する問題ですが、これからCO2排出削減をしていくためには、技術だけでエネルギー消費を減らすのは難しく、ライフスタイルからやっていくのが大切で、車のあり方や私たちの車とのつきあい方が解決策にもつながりそうです。

会場からもいくつか質問が寄せられ、活発な質疑応答になりましたが、清水さんのお話から見えてくる自動車がつくる新しいライフスタイルに期待感がぐっと高まった様子でした。清水さん、有意義なお話を本当にありがとうございました。

2011年2月18日金曜日

清水和夫さんのエコトーク

こんにちは。1月に開催された特別部門主催の清水和夫さんのトークショーは、無事盛況のうちに終了しました。来週中にメルマガでイベントの報告をしますが、その前に参加者の皆さんとの集合写真をどうぞ。

2010年12月28日火曜日

エコカーがもたらす新しいライフスタイル

こんにちは。本日メルマガ配信しました。
今年もお世話になりました。
年明け早々、恒例の特別部門主催のトークショーが行われます。

東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門主催
第9回トークショー「エコカーがもたらす新しいライフスタイル」
ゲスト:清水和夫さん(モータージャーナリスト、レーシングドライバー)
日時:2011年1月13日(木)18時~19時30分
場所:東京大学教養学部駒場キャンパス105号館1階ギャラリー
(参加費無料)

日本でもEV(電気自動車)やハイブリッド自動車の人気が
高まっていますが、今回のトークショーでは車に焦点を当てます。
温暖化対策としてなるべくCO2排出を減らすような低炭素社会作りの
必要性がいわれていますが、そこでも問われているのが
車の在り方です。

エコカーは、低炭素社会作りの大切な要素になっています。しかし、
清水さんは車は低炭素社会を作るためのわき役ではなく、これから
の新しいライフスタイルをけん引していく重要な役割を担っている
と言います。

東京大学の学生が清水さんとの対談形式でお話を伺うトークショーです。
当日は会場参加型で、楽しく和気あいあいと話し合っていきたいと思います。
東京大学の学生さんだけでなく、車好きの方、エコに関心がある方、
参加歓迎です!



*参加をご希望の方は、できるだけ事前登録をお願いいたします。
info@komed.c.u-tokyo.ac.jp 

*東京大学教養学部駒場キャンパスの地図はこちら↓
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map02_02_j.html
皆様のご参加、お待ちしております!

2010年11月10日水曜日

ギャラリートークの集合写真

こんにちは。飯田先生からの報告の通り、無事夏の博物館展示企画も終了しました。
第5回のゲストやまだひさしさんと第6回のゲスト村上拓郎先生のギャラリートークでは終了後、皆さんと記念撮影をしましたので、遅ればせながら写真をアップさせていただきます。

第5回集合写真



第6回集合写真



改めてお越しくださった皆様、ありがとうございました。

2010年9月20日月曜日

展示品写真撮影

駒場博物館 自然エネルギーの世界 展もいよいよ閉会となります.
閉会を前に,展示品の写真撮影を行いました.

今回の展示では,さまざまな種類の太陽光電池モジュールをはじめ,多くの新エネルギーシステムを紹介していました.それぞれが,独自の特徴を備えているので,それを表現するために撮影スタッフの方々が,悪戦苦闘してくださいました.朝から始めた撮影の終了時刻はなんと21時.お疲れ様でした.


ここで撮影した展示品の数々は閉会後,図録として皆様に公開予定です.ご期待ください!

2010年9月13日月曜日

古くて新しいエネルギー風力発電

こんにちは。秋風が少し感じられるこの頃です。今年の夏は本当に暑かったですね。
さて、10日(金)に17号目のメールマガジンを配信しましたので、その内容から一部転載します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○環境エネルギーコラム:
東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門、
東京大学駒場博物館主催
第4回ギャラリートークショー
「古くて新しいエネルギー風力発電とこれからのエネルギー」
ゲスト:飯田誠先生(東京大学先端科学技術研究センター)
2010年8月28日(土)開催

今回のギャラリートークは、当部門の飯田先生にお話しいただきました。恒例の学生さんとの対談形式ではなく、講演1時間に質疑応答30分弱で構成。飯田先生は、駒場キャンパスにも立ち、2009年経済産業大臣賞を受賞した小型風車「エア・ドルフィン」の開発者です。

最初に風力発電の世界的な需要の高さについて解説され、風車の開発者として、その仕組みについてもわかりやすくお話されました。風車は、風が吹くほど、力を発生させることができるけれど、翼の角度によって異なるそうです。発電機は、大きければ大きいほど、また風車が回れば回るほど発電することができます。しかし、速く回すと遠心力が強くなり、また大きくなると重くなって製造するのが大変になります。そこで、軽くて丈夫な素材、構造、設計技術が重要なのだそうです。



約6000年の歴史を持つという風車ですが、日本で最初の風力発電装置が設置されたのは1980年。それから30年経ち現在主流となっている発電用風車は、高い塔(タワー)の上で、3枚の翼が回り電気を作るもので、ダウンウィンド(写真下)とアップウィンド(写真下2番目)の風車に大きく分けられます。駒場博物館展示室内にも、国内メーカ3社(三菱重工、富士重工、日本製鋼所)の協力を得て、それぞれの模型が展示されています。





風力発電の効果について、例えば大型風車(MWT100/2.4MW)1基の場合だと平均風速6.3m/sで、年間約640万kWhの電気を生み出すことができます。これを一般家庭に換算すると約1500世帯分に相当し、石油火力発電所(石油量)に換算すると、約1600kL(ドラム缶8000缶)に相当します。CO2削減量に換算すると、約4700トンもの削減ができ、これをスギの木に換算すると約34万本分が吸収できるCO2量に相当します。風力発電は自然エネルギーの中でも効率がよく、発電量の規模も大きいことがわかります。

その他、風車の翼やナセル(発電機)等がどのように作られるか、風車工場の様子も見せながら解説されました。大型風車が工場から出荷され、現地で建設される際には分割して運ばれ、現場で組み立てられますが、その様子も楽しくお話してくれました。また東京近郊で風車が見たい時は、飯田先生が導入に携わった東京湾臨海風力発電所「東京かざぐるま」や3年前にできた港ヨコハマにある大型風車の紹介もありました。



さらに風車の導入に対する課題については、台風やハリケーンなどの日本特有の問題や風の不規則性の問題、騒音やバードストライクの問題等についても解決の道を模索する方策を提示されました。“風力発電は風が吹いた時だけ発電する”という不規則性の解決策としては、青森県六ケ所村の二又風力発電所での蓄電池併設型の風力発電施設のように風力と蓄電池とのハイブリッド化により問題点の解決を図ることがポイントだそうです。今後は気象予測に基づく風力発電量の予測などの安定化技術も導入が期待されているとのこと。その他、生態系に関わる課題や地域住民の理解を深めていくことの大切さについてもお話されました。参加した皆さんも風力発電の利点と課題をともに考えることで、身近に感じることができた人が多かったようです。



今回は、教養学部で夏に開催した直島キャンプ(飯田先生も指導に当たりました)に参加した高校生も多く参加し、講演後の質疑応答の時間も活発な質問が寄せられました。最後は恒例の記念撮影です。