2010年3月30日火曜日

中国化学技術大学との環境エネルギー国際教育交流

環境エネルギーコラム2:
「中国科学技術大学との環境エネルギー国際教育交流」
山本光夫特任講師


NEDO特別部門における環境・エネルギー教育への取り組みの一つに、
「実験、フィールドワーク、国際交流などを通した実践型の学習」が
あります。この推進にあたっては、北海道増毛町や青森県鰺ヶ沢町で
開催してきた全学体験ゼミナールをはじめとした授業を実施してきました。
一方で国際交流の観点では、これまで中国科学技術大学(University
of Science and Technology of China, USTC)との連携を進めてきました。

中国科学技術大学では、廃穀物を利用したバイオ燃料生成に関する
研究が行われ、新しい方法による技術開発と実際のエネルギー利用が
行われています。このプロジェクトに携わる李全新教授には、
NEDO特別部門の「新環境エネルギー講座」(2008年4月)でも
講演をしていただいています。

今回は、実際に中国科学技術大学へと赴き、海外の現場を学生が自分の
目で見ることで、幅広く環境・エネルギー問題解決へのアプローチに関して
理解することを目的としたプログラムを計画致しました。このプログラムの実施に
より、NEDO特別部門が掲げる「エネルギー環境教育支援ネットワークの形成」
につなげることも視野に入れています。

第1回目となった環境エネルギー国際教育交流は、3月1~5日の日程で
中国安徽省・合肥市にて実施しました。参加した学生は、NEDO特別部門の
授業等を受講した学生の中から希望者5名でした。現地では、USTCが取り組む
バイオ燃料の研究施設や実際のプラント見学、USTCと東大の教員による
シンポジウム(講演)の開催、実際の研究体験など、充実した内容となりました。

施設見学では、USTCについては、李教授の配慮により、バイオマスエネルギー
に関するテーマ以外にも、環境・エネルギーのテーマを取り扱う研究室の見学が
できました。またUSTCから車で1時間ほどの場所にあるプラントについては、
運転を行う企業の方からの説明(写真1)のあとに実際の施設を見学しました。
参加した学生は1~2年生が中心であったこともあり、驚きの連続であったようです。


(写真1)

シンポジウムにおいては、USTC側はLifeng副教授と李教授が、
東大側は丸山特任准教授と私が、最新の研究成果を中心に講演を行いました。
このシンポジウムには、東大の学生だけでなく、USTCの学生も参加し、
それぞれの講演に対して活発な質疑応答が行われました。
(写真2:李教授の講演、写真3:学生を中心に記念撮影)


               
(写真2) 



(写真3)

USTCでの最終日には、実際の研究体験のプログラムが行われました。
これは、李教授の研究室で実際の研究テーマについて、担当する学生
(大学院生)と東大の学生がペアになって実験を行うものです。4つの
テーマに分かれて体験実験を行い(写真4)、その結果についての報告会を
行いました。学生達は、単なる体験ということだけではなく、決まった結果が
想定されている学生実験(授業)での実験との違いを感じたようです。
ここでは実際に研究していく上で大事な点を学び取ることができたように思います。



(写真4)

また東大の学生にとっては、USTCの学生との交流は貴重であったと思います。
USTCの学生は大学院生で、現地での全ての行程に同行して下さったNingさん
Gongさんは博士課程でした。「今回のプログラムを通して、自身の進路や
将来について考えたい」という学生(東大)も多く、彼らと会話をする中で
得たものは大きかったと思います。

以上のように今回の国際交流プログラムは大変に有意義なものとなりました。
最後になりましたが、最大限の受入れをして下さった李教授をはじめ、USTCの
学生さんなど関係者の方々に改めて深く感謝の意を表します。今後も更に
プログラム内容を検討して充実を図りながら、国際ネットワーク構築に向けた
取り組みを実施していきたいと考えています。

シンポジウム「海の緑化技術の現状と展開~森・川・海のつながりと海洋環境~」

本日のメールマガジン配信の内容を転載します!

環境エネルギーコラム1:
シンポジウム「海の緑化技術の現状と展開~森・川・海のつながりと海洋環境~」
山本光夫特任講師


 平成22年2月22日、東京大学教養学部学際交流ホールにて、シンポジウム
「海の緑化技術の現状と展開~森・川・海のつながりと海洋環境~」が
開催されました。これは、以前にメールマガジンでも紹介させていただいた
「製鋼スラグと腐植物質による藻場再生技術」に関するシンポジウムで、
筆者らが組織する海の緑化研究会が主催(NEDO特別部門は共催)で行った
ものです。
(http://www.komed.c.u-tokyo.ac.jp/nedo/seminar.html)

 海の緑化研究会が主催する東京大学でのシンポジウムは、昨年3月に
引き続き2回目となります。昨年は初の開催であったこともあり、研究会が
取り組む藻場再生技術の成果紹介が主な内容でした。本年度のシンポジウム
は、研究成果を紹介するだけに留まらず、本技術開発の基礎となっている鉄を
中心とした「森・川・海のつながりと海洋環境」について広く考え、
議論していくことを目的と致しました。したがって、講演者も研究会内だけ
でなく、海洋環境や水産関係の研究に携わる研究者による招待講演も
組み入れました。また最後に総合討論を加えて、分野や業種を超えた新たな
ネットワークの構築を目指しました。今回のシンポジウムの趣旨は、環境・
エネルギー問題解決に向けては、「俯瞰的」に物事を捉え、「異分野融合」で
対策をとるNEDO特別部門が目指す方向性と一致していると言えます。

 本技術、また藻場再生への取り組みに関しては、特にここ最近大きな注目を
集めるようになりました。本技術は環境修復だけでなく、副産物の有効利用、
地球温暖化対策への寄与など、幅広い分野への期待があり、新聞をはじめとして
マスコミ等で採り上げられる機会も増えてきています。そういったこともあり、
シンポジウムには、大学・研究機関、省庁関係、また企業など幅広い分野や
業種から約120名もの参加がありました。



 シンポジウムは、第1部は講演、第2部は総合討論という構成で行いました。
第1部では、最初に東京大学海洋研究所の小川浩史准教授と、(財)マリノ・
フォーラム21の浮永久氏に招待講演をしていただきました。小川准教授には
「海洋中の溶存有機物の動態と生態系とのかかわり」と題して、藻場再生技術とも
かかわりのある溶存有機物に関するご講演をしていただきました。また浮氏は、
「バイオマスの利活用と、ブラウンベルト構想について」と題して、水産の立場から、
藻場造成に関するこれまでの対策から今後の方向性まで幅広くお話をして下さい
ました。その後は、海の緑化研究会内の大学・研究機関、そして企業から合わせて
5件の報告を行い、第2部の総合討論へと移りました。




 総合討論では、活発な意見交換が行われました。最初に質疑応答を行い
ましたが、会場からは講演内容に関する質問が数多く寄せられました。
その後の討論では、藻場再生技術の今後の方向性、森・川・海のつながりや
海洋環境における鉄や腐植物質の役割についてなど、幅広い討論が行われました。

製鋼スラグと腐植物質による藻場再生技術の研究開発の特長は、様々な分野の
研究者と企業が分野横断的な協力をして進めてきたことですが、まさにそれを
象徴する講演と総合討論になりました。アンケート結果からも、今回のシンポ
ジウムは非常に好評で、分野横断的な内容を評価する声や今後もシンポジウムを
開催して欲しいといった声が多く寄せられました。このように、今回のシンポ
ジウムは大変に有意義なものとなりましたが、今後も更に内容を充実させながら、
藻場再生技術や海洋環境の話題を中心に情報発信を行っていきたいと考えています。

第7回トークショー

皆さん、元気にお過ごしですか?
あっという間に今年度も終わりに近づきました。
本日、年度最後のメルマガも配信しました。

では、さっそく次年度最初の企画、
トークショーのご案内です。


第7回トークショー「エコもライフもエンジョイしなきゃMOTTAINAI!」

ルー大柴さんが駒場キャンパスにやってきます。
ルーさんご自身が日頃実践しているMOTTAINAIの心がけ、
また人生(ライフ)についての深いお話をしてくださる予定です。
このトークは聞かなきゃMOTTAINAI!

日時:2010年4月15日(木)18時~19時30分
場所:東京大学教養学部駒場キャンパス105号館1階ギャラリー
参加費:無料



ぜひ皆さん、お越しください。
お待ちしておりま~す。