講座についての飯田先生の寄稿をこのブログにもアップします!
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講義に関する寄稿:NEDO特別部門 飯田誠特任講師
「環境エネルギーゲーミング in English」
先日教養教育開発機構主催 「ジェネリックシンポジウム」に参加して、
「話すことで学生と教員双方の理解が深まる」・・ことについて考え
させられました。
今日は2009年度開講講義「環境エネルギーゲーミング in English」
について紹介したいと思います。本講義は、以前メルマガ第3号でも
紹介した2009年度夏に開講した講義「環境エネルギーゲーミング」の
英語版です。今学期は、工学教育推進機構の森村久美子先生にご協力
いただき、留学生も参加してもらえるような講義を意識しました。
「in English」についてお話しする前に、夏学期に丸山先生と共同で
開講した環境エネルギーゲーミング(日本語版)を簡単に紹介しておきます。
夏学期は、地球温暖化政策ゲーム「KEEP COOL2」、「貿易ゲーム」、
「マイアース」といった環境・エネルギーゲームを通じて、環境エネルギー
問題の波及効果やジレンマについて、体験、考えてもらい、最後には
自分たちで環境エネルギーに関するゲームをつくってもらいました。
この講義、思いのほか盛況で、そして当初目的としていた環境エネルギー
問題の難しさ、国際協調の難しさについて、他者との対話を通じた議論、
協力関係を築くということを学生たちに体験してもらうことができたと
感じています。環境エネルギー問題の多様性・波及効果の推定には、
うってつけの講義となりました。なにより学生たちが「ゲーム」という
こともあり、楽しんでもらえたことが大きかったのかもしれません。
実際の国際交渉の場を考えた時には、異なる文化背景を有する他の国の
人々と対話、交渉が必要になります。私は、国際標準化交渉の会議などで、
各国の文化背景と触れ合う機会が少なかったために、苦労したことが
あります。このような部分については、体験してもらえなかったことに
課題を感じました。夏学期は別の目的だったので、失敗ではないのですが、
日本人だけのゲームでは、「リアリティ(実践性)」に欠いていることに
課題を感じました。さらに、実際の国際交渉では、英語で議論することが
多く、英語で議論することに対する免疫をつけておく(練習の機会を
増やす)と、今後有用であると思いました。
そこで、冬学期のこの講義では、留学生も交えてさらに英語で交渉をする
講義を行ってみようと考えました。それが「環境エネルギーin English」
です。受講生は30人弱ですが、留学生、帰国子女などが1/4(7人)
参加してくれています。
授業は当初日本語&英語で始めましたが、徐々に英語にウェイトへシフト
するように試みています。現在第5回まで進めましたが、目的である
「英語を無理なく交渉に使う」ことは、意外にもスムーズだと感じています。
(もちろん、苦手な学生も見受けられますが、免疫はついてきたようです)
また、留学生に参加してもらっていることがやはり功を奏して日本語版の
時とは違った進行、交渉が発生しています。地球の危機にみんなで協力する
という世界も繰り広げられています。

写真は、それぞれのグループの世界で起きたゲームの進行を英語で
プレゼンテーションしている様子です。
この講義では、ゲームを単に楽しむだけでなく、その世界で起こった
こと、転換点(地球が滅びるにいたった経緯)なども考えさせています。
(もちろん英語でプレゼンの準備)次回以降、第二ラウンドで、チーム
換えをして別の立場、世界を体験してもらうことになります。彼らの
作っていくこれからの地球がどのようになっていくのか、実際の世界に
ついても楽しみです。
飯田 誠(いいだ まこと):
東京大学教養学部附属教養教育開発機構NEDO新環境
エネルギー科学創成特別部門特任講師。自身が研究
開発に携わった小型風車「エアドルフィン」が産官学連携
功労者表彰で経済産業大臣賞を受賞。